○陸前高田市救急業務取扱規程
平成11年4月1日
訓令第2号
(目的)
第1条 この訓令は、陸前高田市が行う救急業務について、必要な事項を定め、救急業務の効率的な運営を図ることを目的とする。
(1) 救急業務 消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第2条第9項に規定する救急業務をいう。
(2) 救急事故 法第2条第9項及び消防法施行令(昭和36年政令第37号)第42条に規定する救急業務の対象となる事故及び疾病をいう。
(3) 救急隊 救急業務を行うために編成された一隊をいう。
(4) 医療機関 医療法(昭和23年法律第205号)第1条の5に規定する病院及び診療所をいう。
(5) 救急自動車 救急業務を行う自動車をいう。
(6) 救急救命処置 救急救命士法(平成3年法律第36号)第2条第1項に規定する処置をいう。
(7) 救急救命士 救急救命士法第2条第2項に規定する者をいう。
(8) 通信指令員 通信指令室において、通信指令業務に従事する職員をいう。
(9) 救急医療用ヘリコプター 救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法(平成19年法律第103号)第2条に規定するヘリコプターをいう。
(10) 消防防災ヘリコプター 消防組織法(昭和22年法律第226号)第30条に規定する航空機をいう。
(救急隊の設置)
第3条 陸前高田市消防署に救急隊を置く。
(救急隊員)
第4条 消防長は、次の各号のいずれかに該当する消防職員のうちから救急隊員(以下「隊員」という。)を任命するものとする。
(1) 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号。以下「規則」という。)第51条に規定する救急業務に関する講習の課程を修了した者
(2) 規則第51条の2に規定する者
(3) 救急救命士
(4) 前3号に掲げる者のほか、消防長が救急業務の実施に必要と認める者
(救急隊長)
第5条 隊員のうち1人を救急隊長(以下「隊長」という。)とし、原則として消防士長以上の階級にある者をもって充てるものとする。
2 隊長は、上司の命を受け救急業務に従事し、隊員を指揮監督するものとする。
(救急隊の編成)
第6条 救急隊は、隊員3名以上をもって編成するものとする。ただし、規則第50条の規定に該当する場合は、2名をもって編成することができる。
(隊員の訓練)
第7条 消防長は、隊員に対し、救急業務の実施に必要な知識及び技能を習得させるため、常に教育訓練を行うものとする。
(隊員の服装)
第8条 隊員は、救急業務を実施するときは、アポロキャップ、感染防止衣、手袋、マスク、ゴーグル及び安全靴を着用するものとする。この場合において、安全を確保するため必要があるときは、アポロキャップに代えて保安帽を着用するものとする。
(隊員の心得)
第9条 隊員は、救急業務に関する関係法令の規定を厳守し、常に身体及び着衣の清潔保持に留意するとともに、傷病者の対応に当たっては懇切丁寧を旨とし、羞恥心又は不快の念を抱かせないように努めなければならない。
(救急自動車の標示)
第10条 救急自動車の両側面及び後部扉に消防本部名を標示するものとする。
(救急自動車に備える資器材)
第11条 救急自動車には、応急処置及び通信等に必要な資器材で別表第1に掲げるものを備えるものとする。
(救急隊の出動)
第12条 消防長又は消防署長(以下「消防長等」という。)は、救急事故が発生した旨の通報を受けたとき、又は救急事故が発生したことを知ったときは、当該事故の発生場所(以下「救急現場」という。)、傷病者の数、傷病の程度等を確認し、直ちに救急隊を出動させなければならない。
2 消防長等は、救急事故の状況により、当該救急隊での救急活動の実施が困難であると予想される場合は、隊員を増員し、又は消防隊を支援出動させることができる。
(自動車専用道路における活動)
第13条 隊長は、自動車専用道路において救急活動を行う場合は、傷病者及び隊員の安全を確認したうえで行うものとする。
(応急処置)
第14条 救急隊は、救急現場に到着したときは、必要に応じて応急処置を行い、医療機関その他の場所へ搬送するものとする。ただし、傷病の程度により応急処置にとどめることができる。
(救急救命処置)
第15条 救急救命士が救急救命処置を行う場合は、気仙地域メディカルコントロール協議会が定める規程(以下「協議会規程」という。)によるものとする。
2 救急救命士は、前項の救急救命処置を行ったときは、救急救命処置録により消防長に報告しなければならない。
3 消防長は、救急救命処置録を5年間保存しなければならない。
(口頭指導)
第16条 消防長は、救急要請時に、通信指令員から通報者又は救急現場付近にある者に、電話等により応急手当の協力を要請し、その方法を指導するよう努めるものとする。
(搬送を拒んだ者の取扱い)
第17条 隊長は、救急業務の実施に際し、傷病者又はその関係者が搬送を拒んだ場合は、これを搬送しないものとする。ただし、傷病の程度、傷病者の状態及び周囲の状況から判断して特に搬送が必要と認めたときは、この限りでない。
2 前項の規定により搬送しないこととなった場合の取扱いは、協議会規程によるものとする。
(死亡者の取扱い)
第18条 隊長は、傷病者が明らかに死亡している場合又は医師が死亡していると診断した場合は、これを搬送しないものとする。この場合において、傷病者が明らかに死亡しているかどうかの判断等については、協議会規程によるものとする。
(関係者の同乗)
第19条 隊長は、救急業務の実施に際し、傷病者の関係者又は警察官が同乗を求めたときは、努めてこれに応ずるものとする。
(医師の要請)
第20条 隊長は、次の各号のいずれかに該当する場合は、速やかに救急現場に医師を要請し、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(1) 傷病者を搬送することが、生命に危険を及ぼすおそれがある又は傷病の程度を悪化させると認められる場合
(2) 傷病者の救助に当たり、医師による早期治療が必要と認められる場合
(3) その他救急現場において必要と認められる場合
(救急医療用ヘリコプターの要請)
第21条 消防長は、救急要請時又は救急現場到着時において、救急医療用ヘリコプターによる活動が有効と認められる場合は、救急医療用ヘリコプターを要請することができるものとする。
(消防防災ヘリコプターの要請)
第22条 消防長は、救急要請時又は救急現場到着時において、消防防災ヘリコプターによる活動が有効と認められる場合については、消防防災ヘリコプターを要請することができるものとする。
(警察官の要請)
第23条 隊長は、次の各号のいずれかに該当する場合であって、救急事故等の現場に警察官がいないときは、警察署長に通報し、警察官の出動を要請するものとする。
(1) 傷病の原因に犯罪の疑いがあると認められる場合
(2) 交通事故
(3) 労働災害事故
(4) 自傷又は他害のおそれがある場合
(5) 死亡していると認められる場合
(6) その他現場の状況等から必要と判断した場合
(感染症と疑われる者の取扱い)
第24条 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)の施行に伴う感染防止対策について(平成11年消防救第201号)に規定する感染症に罹患した傷病者の搬送については、各関係機関と協議し、対処するものとする。
2 隊長は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)第6条に規定する一類感染症、二類感染症、新型インフルエンザ等感染症、指定感染症又は新感染症と疑われる傷病者を搬送したときは、隊員の感染及び救急自動車等の汚染に留意し、搬送後直ちに所定の消毒を行い、この旨を消防署長(以下「署長」という。)を経て消防長に報告するとともに、当該傷病者に対する医師の診断結果を確認し、所要の措置を講ずるものとする。
(要保護者等の取扱い)
第25条 消防長は、生活保護法(昭和25年法律第144号)に規定する被保護者又は要保護者と認められる傷病者を搬送したときは、同法第19条各項に定める機関に通知するものとする。
(活動の記録)
第26条 隊長は、救急活動を行った場合は、救急活動記録票に次の各号に掲げる事項及び活動概要に係る所要の事項を記録しておくものとする。
(1) 救急事故発生年月日
(2) 覚知時刻
(3) 発生場所
(4) 発生原因
(5) 傷病者の住所、氏名、年齢及び性別
(6) 傷病の部位及び程度
(7) 傷病者を搬送した医療機関名及び医師等
2 隊長は、傷病者を搬送し、医療機関に引き渡したときは、救急活動記録票を作成し、これに医師の署名又は押印を受けるものとする。
(家族等への連絡)
第27条 隊長は、傷病者の傷病の状況により必要があると認めるときは、当該傷病者の家族等に傷病の程度、状況等を連絡するよう努めるものとする。
(医療機関との連絡)
第28条 消防長は、救急業務の実施について医療機関と常に密接な連絡を取るものとする。
(消毒)
第29条 消防長は、次の各号に定めるところにより、救急自動車及び積載品等の消毒を行うものとする。
(1) 定期消毒 月1回
(2) 使用後消毒 毎使用後
(救急業務計画及び訓練)
第30条 消防長は、特殊な救急事故が発生した場合における救急業務の実施についての計画を作成するものとする。
2 消防長は、前項の計画に基づき訓練計画を定め、訓練を行うものとする。
(救急調査)
第31条 消防長は、救急業務の円滑な実施を図るため、本市の区域について、次の各号に定めるところにより調査を行うものとする。
(1) 地勢及び交通の状況
(2) 医療機関等の位置及びその他必要な事項
(3) その他消防長が必要と認める事項
(特殊事故の報告)
第32条 署長は、火災・災害等即報要領(昭和59年消防災第267号。以下「即報要領」という。)に定める救急・救助事故即報基準に該当する事故が発生した場合は、即報要領に規定する様式により速やかに消防長に報告するものとする。
(補則)
第33条 この訓令に定めるもののほか必要な事項は、別に定める。
附則
(施行期日)
1 この訓令は、平成11年4月1日から施行する。
(陸前高田市救急業務取扱規程の廃止)
2 陸前高田市救急業務取扱規程(昭和45年訓令第1号)は、廃止する。
附則(平成14年3月29日訓令第13号)
この訓令は、平成14年4月1日から施行する。
附則(平成30年7月27日訓令第3号)
この訓令は、平成30年8月1日から施行する。
別表第1(第11条関係)
分類 | 品名 |
観察用資器材 | 血圧計 血中酸素飽和度測定器 検眼ライト 心電計 体温計 聴診器 血糖値測定器 |
呼吸・循環管理用資器材 | 気道確保用資器材 吸引器一式 喉頭鏡 酸素吸入器一式 自動式人工呼吸器一式 自動体外式除細動器 手動式人工呼吸器一式 マギール鉗子 呼気二酸化炭素測定器具 心肺蘇生用背板 自動式心マッサージ器 特定行為用資器材 ビデオ硬性挿管用喉頭鏡 |
創傷等保護用資器材 | 固定用資器材 創傷保護用資器材 |
保温・搬送用資器材 | 雨おおい スクープストレッチャー 担架 バックボード 保温用毛布 |
感染防止・消毒用資器材 | 感染防止用資器材 消毒用資器材 |
通信用資器材 | 無線装置 携帯電話 |
救出用資器材 | 救命綱 救命浮環 万能斧 |
その他の資器材 | 懐中電灯 救急バック トリアージタッグ 膿盆 はさみ ピンセット 分娩用資器材 冷却用資器材 |
備考
1 気道確保用資器材は、経鼻エアーウェイ及び経口エアーウェイを含む気道確保に必要な資器材をいう。
2 吸引器一式は、吸引用カテーテルを含む口腔内等の吸引に必要な資器材をいう。
3 酸素吸入器一式は、酸素ボンベ、酸素吸入用鼻カニューレ及び酸素吸入用マスクを含む酸素吸入に必要な資器材をいう。
4 自動式人工呼吸器一式は、換気回数及び換気量が設定できるものとし、手動式人工呼吸器及び酸素吸入器に含まれる資器材と重複するものは共有できるものとする。
5 自動体外式除細動器は、救急救命士が使用するものについては、心電図波形の確認及び解析時期の選択が可能なものとする。
6 手動式人工呼吸器一式は、人工呼吸用のフェイスマスクを含む手動による人工呼吸に必要な資器材をいう。
7 特定行為用資器材は、救急救命士法施行規則(平成3年厚生省令第44号)第21条に定める救急救命処置に必要な資器材とする。
8 ビデオ硬性挿管用喉頭鏡は、チューブ誘導機能を有するものとする。
9 固定用資器材は、副子及び頸椎固定補助器具を含む全身又は負傷部位の固定に必要な資器材をいう。
10 創傷保護用資器材は、三角巾、包帯及びガーゼを含む創傷被覆に必要な資器材をいう。
11 感染防止用資器材は、ディスポーザブル手袋、ディスポーザブルマスク、ゴーグル、N―95マスク及び感染防止衣を含む感染防止に必要な資器材をいう。
12 消毒用資器材は、各種消毒薬及び各種消毒器を含む消毒に必要な資器材をいう。
13 分娩用資器材は、臍帯クリップを含む分娩に必要な資器材をいう。
14 冷却用資器材は、ディスポーザブル瞬間冷却材等とする。
別表第2(第11条関係)
分類 | 品名 |
呼吸・循環管理用資器材 | ショックパンツ |
通信用資器材 | 情報通信端末 心電図伝送等送受信機器 |
その他の資器材 | 汚物入 在宅療法継続用資器材 洗眼器 リングカッター |
その他必要と認められる資器材 |
|
備考
1 情報通信端末は、傷病者情報の共有や緊急度判定等の支援等、救急業務の円滑化に資するための機能を有する資器材とする。
2 在宅療法継続用資器材は、医療機関に搬送するまでの間において、在宅療法を継続するために必要な資器材とする。