○陸前高田市成年後見制度利用支援事業実施要綱
平成28年4月1日
告示第82号
(趣旨)
第1 この要綱は、成年後見人等への報酬の助成その他の支援により成年後見制度の利用を促進するため、陸前高田市が行う後見開始等の審判の請求等に関し必要な事項を定めるものとする。
(定義)
第2 この要綱において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 審判請求 民法(明治29年法律第89号)第7条、第11条、第13条第2項、第15条第1項、第17条第1項、第876条の4第1項又は第876条の9第1項に規定する審判の請求をいう。
(2) 後見開始等の審判 民法第7条に規定する後見開始の審判及び同法11条に規定する保佐開始の審判又は同法第15条第1項に規定する補助開始の審判をいう。
(3) 成年後見人等 成年後見人、保佐人又は補助人をいう。
(4) 認知症高齢者 介護保険法(平成9年法律第123号)第5条の2に規定する認知症の状態にある65歳以上の者をいう。
(5) 知的障がい者 知的障害者のうち18歳以上の者をいう。
(6) 精神障がい者 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号)第5条に規定する精神障害者のうち18歳以上の者をいう。
(支援の対象者)
第3 この要綱に基づき実施する支援は、認知症高齢者、知的障がい者又は精神障がい者であって次の各号のいずれにも該当するもの(以下「対象者」という。)に対し行うものとする。
(1) 事理を弁識する能力が不十分なため、日常生活を営むのに支障がある者
(2) 審判請求を自ら行うことが困難である者
(3) 配偶者、4親等内の親族又は同居の親族(以下「親族等」という。)による監護及び審判請求が期待できない者
(4) 福祉サービス等を利用する必要がある者で、福祉サービス等を利用することにより福祉の増進が期待できる者
(審判請求の要請)
第4 次に掲げる者は、対象者がいると判断したときは、審判請求要請書(様式第1号)により、市長に審判請求を要請するものとする。
(1) 民生委員
(2) 老人福祉法(昭和38年法律第133号)第5条の3に規定する老人福祉施設の職員
(3) 介護保険法第8条第25項に規定する介護保険施設の職員
(4) 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)第5条第11項に規定する障害者支援施設、同条第25項に規定する地域活動支援センター、同条第26項に規定する福祉ホーム又は同法附則第58条第1項の規定によりなお従前の例により運営をすることができることとされた同項に規定する知的障害者援護施設の職員
(5) 独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園法(平成14年法律第167号)第11条第1号の規定によりのぞみの園が設置する施設の職員
(6) 病院又は診療所の職員
(7) 保健所の職員
(8) 前各号に掲げる者のほか、対象者の日常生活の支援を行っている者(親族等を除く。)
(調査の実施)
第5 市長は、第4の規定による要請があったときは、対象者と面談等を行い、次に掲げる事項を調査するものとする。
(1) 対象者の判断能力の程度
(2) 対象者の生活状況及び健康状況
(3) 対象者の親族等の有無及び親族等による監護の状況
(4) 対象者又は親族等が後見開始等の審判の請求を行う可能性
(5) 市長が親族等に代わって審判の請求をするべき事由の有無
(6) 対象者の福祉サービスの利用の必要性及び利用した場合の効果
(7) 前各号に掲げるもののほか、市長が特に必要と認める事項
2 前項に規定する場合のほか、市長は、職権で同項に定める事項を調査することができるものとする。
(親族等への説明)
第6 市長は、第5の規定による調査の結果、審判請求を行う必要があると判断した場合において対象者に親族等がいるときは、当該親族等に審判請求の必要性を説明し、親族等による審判請求を促すものとする。
2 市長は、親族等が審判請求を行う意思を有するものと認めたときは、必要に応じて審判請求の手続に関する情報等を当該親族等に提供するものとする。
(審判請求)
第7 市長は、第5の規定による調査の結果、次の各号のいずれかに該当する事実が判明した場合は、審判請求を行うものとする。
(1) 対象者に親族等がないとき。
(2) 対象者について審判請求を行う必要があると認められるにもかかわらず、当該対象者の親族等に審判請求の意思がないとき。
(3) 対象者が親族等から虐待を受けている等の事情があることにより親族等以外の者が審判請求を行う必要があると認められるとき。
2 市長は、緊急やむを得ない理由があると判断したときは、第5の規定による調査を省略することができる。
(審判費用の負担)
第8 市長は、家事事件手続法(平成23年法律第52号)第28条第1項の規定により、審判請求に係る費用(以下「審判費用」という。)を負担するものとする。
2 市長は、審判費用について、対象者又は関係人が当該費用を負担すべき事情があると認めるときは、家事事件手続法第28条第2項の規定により当該費用を当該対象者又は関係人に負担させるよう家庭裁判所に申立てを行うものとする。
3 市長は、家庭裁判所による費用の負担の裁判があったときは、審判費用を対象者又は関係人に求償するものとする。
(助成の対象者)
第9 市長は、第7第1項の規定により行った審判請求に基づき後見開始等の審判を受けた者(以下「成年被後見人等」という。)で次の各号のいずれにも該当するものに対し、成年後見人等に対する報酬の支払等について助成するものとする。
(1) 市内に居住し、かつ、本市の住民基本台帳に記載されている者
(2) 次のいずれかに該当する者
ア 生活保護法(昭和25年法律第144号)による保護を受けている者
イ 成年後見人等に対する報酬の支払により、生活保護法第6条第2項に規定する要保護者となるおそれがある者
ウ 成年後見人等に対する報酬の支払について助成を受けなければ成年後見制度の利用が困難であると市長が認める者
2 前項の規定にかかわらず、市長は、次の各号のいずれかに該当する者が前項第2号に該当する者である場合には、成年後見人等に対する報酬の支払について助成することができる。
(1) 社会福祉法(昭和26年法律第45号)第62条第1項に規定する社会福祉施設に入所したことに伴い、市内の住所地から当該施設の所在地に住所を異動した者
(2) 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第5条第15項に規定する共同生活援助を行う住居又は同条第26項に規定する福祉ホームに入居したことに伴い、市内の住所地から当該住居等の所在地に住所を異動した者
(助成の額)
第10 助成の対象は、家庭裁判所の審判により成年後見人等に対して付与される報酬及び審判請求の手続において負担する費用とする。
2 成年後見人等に対する報酬の支払の助成額は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める額を上限とする。
(1) 成年被後見人等が在宅である場合 月額28,000円
(2) 成年被後見人等が施設入所又は長期入院をしている場合 月額18,000円
3 審判請求の手続における費用の負担の助成額は、当該審判請求に要した収入印紙代、登記印紙代、郵便切手代、診断書料及び鑑定料を合算した額に相当する額とする。
(助成の申請)
第11 成年被後見人等の親族等又は成年後見人等は、助成を受けようとするときは、成年後見制度利用支援助成申請書(様式第2号)に必要な書類を添付して、市長に提出しなければならない。
2 前項の申請書の提出期間は、家庭裁判所による報酬付与の審判の決定があった日の翌日から起算して60日以内とする。
(助成の決定)
第12 市長は、第11第1項の規定による申請書の提出があったときは、その内容を審査して助成の可否を決定し、成年後見制度利用支援助成決定(不決定)通知書(様式第3号)により、申請者に通知するものとする。
2 前項の規定による助成決定の通知を受けた者は、成年後見制度利用支援助成金請求書(様式第4号)により、助成金を請求するものとする。
3 前項の規定による助成金の請求は、次の各号に掲げる期間ごとに一括して行うものとし、市長は、請求書を受理した日から起算して30日以内に助成金を支払うものとする。
(1) 1月から3月までの期間
(2) 4月から6月までの期間
(3) 7月から9月までの期間
(4) 10月から12月までの期間
(成年後見人等の報告義務)
第13 第12第1項の規定による助成決定の通知を受けた者は、第9に定める助成の要件に該当しなくなったとき、又は資産状況、生活状況等に変更が生じたときは、成年後見制度利用支援助成中止(変更)届(様式第5号)に当該事実を確認できる書類を添えて、速やかに市長に提出しなければならない。
(助成の中止等)
第14 市長は、成年被後見人等が次の各号のいずれかに該当するときは、助成を中止するものとする。
(1) 死亡したとき。
(2) 後見開始等の審判が取り消されたとき。
(3) 第9に定める助成の要件を満たさなくなったとき。
2 市長は、成年被後見人等の資産状況、生活状況等が著しく変化したときは、決定した助成金の額を変更することができる。
(不正利得の徴収)
第15 市長は、成年後見人等が偽りその他不正の手段により助成金の支給を受けたときは、その者から、既に支給した助成金の額に相当する金額の全部又は一部を徴収することができる。
(その他)
第16 この要綱に定めるもののほか、必要な事項は、別に定める