華蔵寺の宝珠マツ(国・天然記念物)
指定種別
国指定
種別
天然記念物
指定年月日
昭和10年12月24日
所在地
小友町字門前(華蔵寺)
所有者
華蔵寺
計測値
樹高19.0メートル 胸高周囲2.1メートル
平成2年計測
枝張
- 東4.9メートル
- 西5.4メートル
- 南6.9メートル
- 北6.9メートル
概要
「華蔵寺の宝珠マツ」の名称は、球果(まつぼっくり)がまとまって数十個ひとかたまりにつくことがあり、その様子が宝珠を連想させることに由来しています。
通常のクロマツは、春に伸びる新しいこずえの付け根に多数の黄色い雄花がつき、その先端には紫紅色で球形の雌花が2~4個程度つきます。宝珠マツの場合は、新しいこずえの付け根に多数の雌花がつくため、これらが受粉して球果(まつぼっくり)となり、成熟すると押し合うようにひとかたまりの宝珠状になります。
このように宝珠状に球果(まつぼっくり)がつく現象は毎年すべての枝に見られるものではなく、まったく発生しない年もあるなど偶発的かつ散発的に発生するようです。
クローン苗木による再生プロジェクト
指定木は平成30年に枯死のため伐採されてしまいましたが、貴重な樹木を後世に残すための事業として森林総合研究所が2007年2月に採取した枝から育成された宝珠マツのクローンが東北育種場(滝沢市)で育てられています。
この樹木の枝から更にクローンの苗木を育て、宝珠マツを再生しようというプロジェクトを現在進めています。
同じDNAを持つクローン苗木を活用するため、文化庁や県教育委員会との協議を行い、国指定文化財としての指定は継続した状況でプロジェクトが進められています。これは国指定文化財としては全国で4例目となる大変珍しいケースです。
クローン苗木の里帰り
令和2年6月25日、クローン苗木は東北育種場長から華蔵寺住職に受け渡され、待ちに待った里帰りの時を迎えました。
再び宝珠のような松かさがつくようにとの思いを乗せて、苗木の植え付けが行われました。
今後は定期的な経過観察を実施し、成長の様子を見守っていきます。
育種状況確認(森林総合研究所東北育種場:滝沢市)
令和2年3月18日
10本の全ての苗木が順調に育っており、あとは現地への里帰りを待つばかりです。
植栽後は定期的な経過観察等を実施し、往年のような松かさの宝珠化を実現したいと考えております。
令和元年10月24日
10本全ての苗木が順調に成長しており、その中の一本には松かさ(まつぼっくり)を確認することができました。
来年の3月にはどの苗木を里帰りさせるかを決めるために再度、東北育種場に伺う予定になっており、現地への里帰りは4・5月を予定しています。
令和元年5月27日
まだ松かさの宝珠化は確認できませんでしたが、苗木10本全てが元気に育っていました。
秋に実施予定のクローン苗木確認時には、里帰りの時期を相談する予定です。
宝珠を再生するのはまだまだ先のことになりそうですが、今後ともご支援・ご協力をよろしくお願いいたします。
平成30年5月8日
樹勢回復措置および伐採作業
宝珠マツは、平成27年に葉が茶色く変色してから約2年間、様々な樹勢回復措置を実施してきましたが、平成29年7月に樹木医による“枯死”判定を受けました。
平成30年2月6日には多くの地域住民などに見送られながら伐採作業が行われました。
樹勢回復措置の内容
松くい虫調査(3回実施)
枯れ枝の剪定、コケの除去、土壌改良、樹幹注入
更新日:2023年02月13日